理事長挨拶


自ら誇りをもって豊かな人生を歩み、お客様に夢が与えられる美容師に

 

美容師というのはとても素晴らしい職業です。自らの技術一つで、お客様に夢を与え喜んでいただくことができ、将来に向けて独力で自分自身の大きな夢を描くこともできる、可能性あふれる職業の一つだと言えるでしょう。

 

しかし美容師を取り巻く環境は必ずしも整備されているわけではなく、長い労働時間とそれに見合わぬ賃金、常に求められる滅私奉公的な自助努力、決して恵まれているとは言えぬ社会保障などむしろ一般には厳しい職業だという評価に甘んじていることも事実です。

 

もちろんこれらの状況は予てより業界の改善すべき課題であり、美容室経営者をはじめ多くの方々がその改善に取り組んではおりますが、まだその評価を覆すには至らず、業界に入ってくる若者に大きな負荷をかけているのが現実です。

 

しかしながら冒頭に掲げたように、この職業の持つ独自性、そして将来に向けた可能性は紛うことなき事実であり、美容師という職業が、若者が希望をもってその将来を託すに相応しいものであることを私は信じて疑いません。

 

現在わが国において美容師になるためには、美容師国家試験に合格し、国の定める美容師資格を取得する必要があります。

そしてその国家試験を受験するためには厚生労働省が指定する美容師養成施設、つまり美容学校を卒業することが法律によって義務付けられています。

 

よってわが国が定めた教育機関である美容学校は、細かく指導基準などが規定され、どの学校に通っても同様の教育を受けた上で共通の国家試験に臨めるよう制度が整備されています。

 

しかし資格というものが概ねそうであるように、美容師資格もまた必要条件ではあっても十分条件ではなく、これを有することが必ずしもプロとしての自立を保証するものではないのも事実です。

 

そして先に述べた厳しい現実が更なる壁となって期待との乖離を生み、業界に入ってくる希望溢れる若者を挫折させる原因となっているのです。

 

2年間の専門教育を終え国家資格を取得しながら、現実には古の徒弟制度の名残であるかのような下働きに甘んじる数年の間に、希望を失い業界を去っていく若者がどれだけいるかを考えたとき、我々美容学校の役割とは何かをあらためて考えさせられるのです。

 

もちろん2年間という限られた時間でプロの美容師を育成することはできません。

しかし、美容学校は美容師資格を取得するための予備校的存在だけで本当にいいのでしょうか?

 

国家資格は大切なものであり、これなくして業の品質維持は望めません。

しかし資格が自立を保証するものではない以上、われわれ美容学校は職業教育機関として、資格を越えたところで若者たちに自立の術を伝える義務があるのではないでしょうか。

 

本校ではそうした考えに基づき、資格取得に留まらない、もっと先を見据えた教育を推し進めております。

本校が目指すものは輝く美容師の実現であり、美容師資格はもとより、輝く美容師になるための素養と、そうなるまで挫折せずに続けられる力、つまり社会で自立するための職業的スキルを身に付けることを目標に教育を行っているのです。

 

どうせなるなら、生き残れる輝く美容師に。

「職業を通じて自ら誇りを持って豊かな人生を歩み、お客様に夢が与えられる美容師」

なってもらいたいのはそんな美容師です。

 

 

学校法人藤井学園

理事長 藤井静児